大学は東北地方にある。
この大学は英文学などを専攻しておこなっている。
 校舎はだいぶ古くからあるためか、だいぶ壁のひび割れが目立っているが、
度重なる改修工事のおかげで、快適に過ごせるほどである。
 バスで30分行ったところには県庁所在地があり、
そちら側には住宅地が林立しているが、大学を境に一転して農業地帯へと様相をかえる。
大学を含めて、山間にひっそりとした町だ。
 全校生徒2千人ほどの三分の二ほどが地元・県内在住者で、
他県からやってきた多くの学生は、大学付近にある貸しアパートに居を構えていた。
学生中心のアパートも多いので、たいていの学生が顔見知り程度の付き合いをしているようだ。
 滝高さんは、そんなアパート中ある、小高い丘の上のアパートを借りていたのだけれども、
最近、引越しをした。

 引越しは3月下旬。
 いらないものはすべて処分してきた。
 お気に入りだったおそろいのマグカップも
大崎君が好きだといった小説も
プレゼントされたぬいぐるみも 
すべてひとつの袋にまとめて、あのアパート下のごみ収集所においてきた。
 部屋は今年他県からやってくる新しい女の子の部屋になる。

 青いチェックのベッド。白い楕円形のテーブル。
 厚ぼったいカーテンがひかれた部屋。
 今の部屋は引っ越してくる前の部屋とどこかしら同じようなにおいをしている。
 千歳が買ってきた引っ越し祝いのビーズクッションが部屋にぽってりとおちている。
 購読している英字新聞と毎日新聞が飲みかけのマグカップの傍らでひっそりしている。
 今回の部屋にはフラワースポットがない代わりに、
 一面使った大きな窓があった。
 こちらは農村地帯のなかにあり、大学側を背にしているため、田園風景が広がっている。
 滝高さんは、この景色を気に入っている。